2004年3月20日。
 その日はここ最近の週末には無い、穏やかな天気でした。
午前中馬に乗って外に出てみましたが、ヒヨドリ、コガラ、シジュウカラといった沢山の鳥達が、あんまり気持ちよそうにさえずるので、どこかの山にでも野鳥を見に行ってみようか・・・と。 軽い気持ちで出た割には、デジカメ2台にGPS、スノーシューを荷台に放り投げ、ジュースも買って、いざ十勝管内のとある山へ。 エンデュランスのための体力づくり!なんて気持ちもあって、風の向くまま、気の向くままに山奥へ歩み出しました。
 急斜面を登り、沢山の鹿のフンを踏みながら獣道を頼りにしばらく歩くと、大きな沢へ出ました。 向こう斜面に鹿でも見えるかと思ったけど、ぺちゃくちゃとしゃべりながら歩いたから、居るわけが無い・・・。
しかし!上空にはオジロワシが飛んでいるのが見えました!
 「いや~、来たかいがあった!良いものを見たなぁ」と・・・。 再びズンズンと鹿の足跡を見ながら進み始めた時、2mの影が音もなくスっと横切ったのはその時でした!

「シマフクロウだ!!」

 約半世紀(^0^)、山を歩き続けた片山オーナーですら、生まれて始めて見たと言う野生のシマフクロウが約100m先の木に留まりました。 音を立てて良いものか、しばらく動けず、息をこらして目を奥の木々に向けました。確かに留まっている!こちらを向いて。
双眼鏡で確認・・・間違いなくそこに、野鳥図鑑そのまんまの日本最大のフクロウ、シマフクロウ(世界の絶滅危惧・希少動物・特別天然記念物)が目に入ってきました。
 双眼鏡でのぞきながら一歩前へ…動かない。
スノーシューの大きなザクザクした音を立てて近づくも、じっとこちらを見たまま動く気配すら無い。 なぜかこちらが固まってしまいそうなピンと張りつめた空気が。 デジカメで撮影しながら歩み寄りましたが、時々よそ見をする余裕を見せつけられ、鳥ながら拝みたくなるような風格。
まさに『コタンクルカムイ』ここにあり! アイヌの人たちが部落を守る神と崇めただけのオーラを感じ、足が震えんばかりの興奮でした。 これはきっと見た者だけが感じる興奮だとすぐに感じながら、「お願いねー、飛んで行かないでおくれー」と声をかけながら、ついに30mぐらいまで近づきました。間近でみると「トトロみたーい」と思ったり何かして(笑)。 70cmはあろうかと思えるその大きさを見事に2台のデジカメで撮影することができました。 最近調子が悪かった1台も、何故かその時だけはパーフェクトな動き。これも神のお力か?
 どれほど双眼鏡で眺めていたことか。
今は産卵の時期だろうから、あまり長居も良くなかろうと「ありがとう」を連発して退散しました。その間もずっとこちらを見据えたまま。 一歩一歩離れて後ろを振り返る度に、「あれ?どこだったっけ?」とすぐにわからなくなるほど木と同化してしまいます。
 姿を見せてくれて、本当にありがとう。